行政指導とは「強制」ではなく「助言」です。修正申告を勧められた時の考え方


日本語での「指導」と行政用語の「行政指導」の違い ― 税務調査における修正申告との関係
税務調査を受けると、税務署の調査官から「修正申告をしてください」と行政指導を受けることがあります。これは「修正申告の勧奨」と呼ばれますが、法律上は 行政指導 にあたり、従う義務はありません。
とはいえ「行政指導」と聞くと、「税務署からの命令に従わなければならないのでは」と不安に感じる方も多いでしょう。その背景には、日本語の「指導」という言葉が持つイメージと、法律用語としての「行政指導」の意味の違いがあります。本記事では、この2つを整理し、税務調査における修正申告との関係を解説します。
税務調査でよくある「修正申告の勧奨」とは?
税務調査で誤りが見つかった場合、税務署は「更正処分」によって税額を修正できます。しかし、その前に調査官が「ご自身で修正申告をしませんか?」と勧めるのが 修正申告の勧奨です。
ここで大切なのは、修正申告に応じるかどうかは納税者が任意で判断できる点です。応じなくても不利な扱いを受けることはなく、税務署が更正処分を行うだけです。したがって、修正申告の勧奨は 行政指導に分類されます。
日本語での「指導」の意味
国語辞典では「指導」を次のように説明しています。
- ・ある目的や方向に向かって導くこと
- ・知識や技術を教え、指し示すこと
- ・上位者が下位者に対して行う教育や助言
日常で「部下を指導する」「生活指導をする」といった言葉を使うとき、多くの人は「上からの強い働きかけ=命令に近いもの」と受け取りがちです。 ただし重要なのは、「指導」という語自体に命令や強制の意味は含まれていないこと。本来は「指して導くこと」であり、必ず従わせることを前提とした表現ではありません。
行政用語としての「行政指導」
法律用語としての行政指導は、日常の「指導」のニュアンスと大きく異なります。 行政指導とは、行政機関(税務署や市役所など)が法律に基づかずに、助言・要請・勧告を行う行為です。
- 強制力はないため、従わなくても罰則や加算税などの不利益は直ちには生じない
- 内容に納得できない場合は、理由を確認し、法的根拠の有無を丁寧に検討する
つまり行政指導は、あくまで「お願い・助言」にすぎません。
納税者の心構え
- 日本語の「指導」には命令・強制の意味は本来含まれない
- 修正申告の勧奨は行政指導であり、従うかどうかは任意
- 応じなくても、税務署が更正処分として税額を修正するだけ
これらを知っていれば、調査官の言葉に過度な不安を抱かず、冷静に対応できます。迷った場合は、記録を残しつつ専門家へ相談しましょう。
まとめ ― 法律に従う姿勢が大切
「指導」と聞くと命令に近いものと誤解しがちですが、本来は「指して導くこと」であり、強制力を意味しません。法律用語の「行政指導」も同様に、お願いや助言にとどまります。
修正申告の勧奨もその一つで、従うかどうかは納税者の自由です。必要に応じて税理士などの専門家に相談し、法律を基準に冷静に判断しましょう。公務員の発言に盲目的に従うのではなく、法治国家の一員として「法律」に従う姿勢こそが、納税者の権利を守ることにつながります。
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