【7月人事異動】新体制の税務署が本格化する年末までの税務調査ラッシュと対策


「税務調査なんて、うちはまだ先の話だろう」
「確定申告の時期以外、税務署はそんなに動かないのでは?」
そうお考えなら、認識をアップデートしておく必要があります。国税組織にとって6月末はひとつの区切りであり、7月からは新しい体制のもとで、年末に向けた税務調査が本格化していく時期だと言われています。
税務調査は、調査官の主観や雰囲気で決まるものではありません。あくまで「税法・国税通則法」と「客観的な証拠(帳簿や書類)」に基づいて、適正な申告が行われているかを確認する手続きです。
この記事では、なぜ7月から年末にかけて税務調査が増える傾向にあるのか、その背景と、経営者が今のうちに済ませておくべき備えを解説します。
1. 6月末で一区切り。7月から税務署の「新しい1年」が始まる
多くの企業は3月や4月を決算期としていますが、国税局・税務署などの国税組織は「7月1日から翌年6月30日」を1事務年度としています。
📌 税務署のスケジュールにおける7月の意味
① 6月末までの「駆け込み対応」
5月〜6月は、その事務年度の未処理案件を片づける動きが強まる時期だと言われています。これが6月末で一区切りとなります。
② 7月上旬の大規模な人事異動
区切りを迎えると同時に、7月上旬には署長や統括官、実際に現場を担当する調査官を含む大規模な人事異動が例年行われています。
つまり7月は、税務署が新体制でスタートを切るタイミングです。新しく着任した調査官が、これから年末にかけて調査対象の選定や実地調査を進めていく、その起点にあたります。
2. 7月〜年末に税務調査が増えやすいと言われる理由
「異動直後は引き継ぎで忙しいはず」と油断するのは禁物です。実務上、7月から12月は年間を通じて税務調査の連絡が比較的多い時期だと言われています。
- 7月〜8月:新体制によるターゲット選定
新しく着任した調査官は、過去の申告データやKSK(国税総合管理)システムなどを活用しながら、調査対象の選定作業を進めていくとされています。 - 9月〜11月:事前通知の連絡が増える時期
対象の絞り込みが進む9月以降、国税通則法第74条の9に基づく事前通知(税務調査を行いたい旨の連絡)が増える傾向にあります。
💡 年末までに決着をつけたい背景
1月〜3月は個人の確定申告で税務署自体が繁忙期に入るため、法人や大口の個人事業主に対する調査は、7月から年末までの間に一定の決着をつけたいという事情があると言われています。3. 新体制の調査官が特に確認しやすい3つのポイント
調査官が重点的に見るのは、常に「法律の要件を満たしているか」と「それを裏づける証拠があるか」の2点です。特に確認されやすい代表的な論点を整理します。
- ・経費の「否認(ひにん)」
会社の経費として認められない支出のことです。社長個人の飲食代や家族旅行の費用を「旅費交通費」「福利厚生費」として処理していると、指摘の対象になりやすい典型例です。 - ・「損金不算入(そんきんふさんんにゅう)」
会計上は支出していても、税務上は経費(損金)として認められない取扱いです。交際費の限度額を超えた贈答品や、役員への不相当に高額な給与などが該当し得ます。 - ・「役員賞与(認定賞与)」
事前の届出なく役員に支払われた臨時のボーナスや、経費の肩代わりとみなされる支出は、会社の経費にできないだけでなく、役員個人への給与として課税対象になり得ます。
新しく着任した調査官は、過去の引き継ぎ資料だけでなく、あらためて過去数年分の帳簿を確認するケースが多いとされています。「これまで指摘されなかったから大丈夫」という判断は、必ずしも通用するとは限りません。
4. 年末までに済ませておきたい「自社チェック」3項目
税務署が新体制で動き始めているこの時期、経営者にできる備えは「先に証拠を整理しておくこと」です。以下の3点を確認しておくことをおすすめします。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| ① 領収書と使途の説明 | 高額な領収書(飲食代・コンサル費・外注費など)について、誰と何のために使ったか説明できる記録が残っているか |
| ② 契約書と印紙税 | 業務委託契約書などに、適正な金額の収入印紙が貼付・消印されているか |
| ③ 売上・仕入の計上時期 | 決算期をまたぐ取引で、計上時期にズレ(期ズレ)がないか |
税務調査の連絡が来てから慌てて書類を探しても、対応できることは限られます。比較的余裕のある7月・8月のうちに、税理士など専門家を交えて事前確認を行い、弱点を洗い出しておくことが実務上の備えになります。
5. よくある質問
Q. 7月〜12月の間で、特に連絡が来やすいのはいつ頃ですか?
A. 8月後半から9月にかけての時期が比較的多いと言われています。7月に着任した調査官が対象選定を終え、9月以降に事前通知の連絡を始めるケースが多いためです。ただし対象や状況によって異なるため、あくまで傾向としてご参考ください。
Q. 12月に調査が入った場合、何か特徴はありますか?
A. 年内に一定の区切りをつけたいという事情から、比較的早期に協議が進みやすい傾向があるとされています。もっとも、内容によって進み方は大きく異なるため、個別の状況に応じた対応が必要です。
まとめ:本格化する前に、専門家によるチェックを
6月末の区切りを経て、7月からの新体制のもとで、税務署は年末に向けて調査対応を進めていきます。突然の連絡に慌てるか、今のうちに準備しておくか。その分かれ目は「今」にあります。
税務調査自体は、必要以上に恐れるものではありません。法律の知識を持ち、日頃から客観的な証拠を整理しておけば、どのような調査官が来ても落ち着いて対応できます。
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