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2026年07月
税務調査で納得いかない場合の「再調査の請求」とは?やる意味や審査請求との違いを解説


税務調査が実施され、調査官から指摘を受けた際、その内容にどうしても納得がいかないという場面に直面することがあります。税務調査に対して不安や疑問を感じるのは、経営者や経理担当者として当然のことです。
税務調査は、調査官の個人的な好みや感性で税額を決定するものではありません。国税通則法をはじめとする税法と、会社が保管している請求書、領収書、契約書、通帳などの客観的な証拠に基づいて、事実関係と法律の適用を確認する手続きです。したがって、税務署から何らかの指摘を受けたからといって、直ちに納税者側の主張が間違っていると確定するわけではありません。
調査官から「申告内容に間違いがあるため、申告を直してください」と求められた場合でも、納得がいかなければその場ですぐに同意する必要はありません。法律には、税務署側の判断に対して疑問がある場合に、客観的な手続きを通じて見直しを求める仕組みが用意されています。
その手続きの一つが「再調査の請求」です。しかし、経営者の方からは「処分を出した税務署にやり直しを求めても意味がないのではないか?」「審査請求と比べてマイナーな制度なのでは?」といった疑問の声が多く聞かれます。
この記事では、調査官の指摘に納得がいかない場合に修正申告を拒否して届く「更正処分」の仕組みと、不服申立て手続きである「再調査の請求」の基礎知識、そして「実際にやる意味はあるのか」という現実的な疑問について分かりやすく解説します。
1. 調査官の指摘に納得がいかない場合の「修正申告」と「更正処分」の違い
税務調査の終盤になると、調査官から「ここが経理処理として認められないため、自主的に申告を直してください」と依頼されることがよくあります。この申告を直し、不足している税金を納める手続きを「修正申告」といいます。
修正申告とは、すでに提出した申告書の税額が少なかった場合などに、納税者が自らの意思で申告内容を訂正する手続きです。ここで重要なのは、修正申告はあくまで「納税者が納得して自主的に行う手続き」であるという点です。一度修正申告書を提出してしまうと、後から「やはり納得がいかなかった」と主張して、その修正内容を取り消すことは原則として非常に困難になります。
もし、調査官が示した根拠や事実関係の捉え方に納得がいかない場合は、修正申告に応じないという選択肢があります。修正申告に応じない場合、税務署は調査結果に基づいて職権で税額を決定する処分を行います。これを「更正処分」といいます。
| 区分 | 手続きの性質 | 不服申立ての可否 |
|---|---|---|
| 修正申告 | 納税者が自らの意思で自主的に申告内容を修正・提出する手続き。 | 原則不可 (一度提出すると取り消せません) |
| 更正処分 | 修正に応じない場合、税務署が職権で税額を変更・決定する行政処分。 | 可能 (公的な見直し手続きへ進めます) |
「更正」とは、提出された申告書の税額などを、税務署が職権で変更する行政処分です。税務署から更正通知書という公的な書類が送られてくることで、法律上の処分が確定します。税務署と話し合いを続けても折り合いがつかない場合、あえて修正申告を行わず、この更正処分を受けることによって、公的な見直し手続きへ進む権利が得られます。
2. 不服申立て手続きにおける「再調査の請求」の位置づけと審査請求との違い
更正処分を受けたものの、税務署の判断に納得できない場合、納税者にはその処分に対して不服を申し立てる権利が認められています。これが「不服申立て」という制度です。不服申立ての手続きには、大きく分けて「再調査の請求」と「審査請求」の2種類があります。
かつては「異議申立て」という名称で呼ばれていましたが、平成26年の国税通則法改正により現在の「再調査の請求」に名称が変更されました。
⚖️ 2つの不服申立て手続きの違い
① 再調査の請求(旧:異議申立て)
更正処分を行った処分庁(税務署長など)に対して、直接「もう一度調べて見直してください」と求める手続きです。
② 審査請求
税務署ではなく、国税庁の特別の機関である「国税不服審判所」に対して処分の取り消しを求める手続きです。国税不服審判所は、税務署とは独立した第三者的な立場で判断を行います。
平成26年の法改正前は、まず税務署への異議申立て(現在の再調査の請求)を行わなければ国税不服審判所へ進めないルール(異議申立前置主義)でした。しかし制度改正により、現在では再調査の請求をスキップして、直接国税不服審判所に「審査請求」を行うことが可能になりました。
そのため、「処分を出した税務署に直接申し立てるより、最初から第三者機関である国税不服審判所に審査請求をしたほうが公平に判断してもらえる」と考えるケースが増え、実務上、再調査の請求はややマイナーな選択肢として扱われるようになっています。
3. 国税通則法における再調査の請求の法的根拠と提出期限
不服申立ての第一歩となる「再調査の請求」については、国税通則法という法律で具体的なルールが定められています。
📜 国税通則法第75条第1項(抜粋)
「国税に関する法律に基づく処分に不服がある者は、第77条第1項の規定により、その処分をした税務署長に対して再調査の請求をすることができる。」
簡単に言うと、この条文は、税務署から更正処分などの処分を受けた納税者が、その内容に納得がいかない場合に、処分を行った税務署長に対して「処分を再確認してください」と請求できる権利を保障している規定です。
税務調査対応において重要なのは、税務署の言われるままに従うことだけが選択肢ではないということです。法律によって、納税者の権利を守るための手続きが制度として用意されています。
⏰ 再調査の請求には厳格な期限があります!
国税通則法第77条の規定により、再調査の請求は原則として「処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内」に書面で提出しなければなりません。この期間を過ぎてしまうと、どれだけ正しい主張であっても手続きを行えなくなってしまうため、期限の管理には細心の注意が必要です。
4. 裁判例に見る税務署の判断と客観的な証拠の重要性
税務署が行った更正処分が、その後の不服申立てや裁判で取り消されるかどうかは、「客観的な証拠」がどれだけ揃っているかによって大きく左右されます。
実際の裁判(最高裁判所平成16年7月8日第一小法廷判決、事件番号:平成15年(行ヒ)第174号)では、会社と役員との間の取引や資金のやり取りが、税務上どのように評価されるかが争われました。
この裁判において最高裁判所は、単に書類のタイトルや形式的な記載だけを見るのではなく、実際の資金の動き、合意に至る経緯、契約が履行されている実態などの「具体的な事実関係」を総合的に考慮して判断を示しました。
この裁判例から分かるのは、税務署が更正処分を行う際にも、また納税者がそれに対して再調査の請求や審査請求を行う際にも、決め手となるのは双方の主張を裏付ける「客観的な事実と証拠」であるという点です。
📁 納税者の主張を支える客観的証拠の例
- 取引先からの請求書や領収書の原本
- どのような業務のために支出したかを示す社内メールや打合せメモ
- 実際に作成した成果物や納品物
- 会社名義の通帳からの引き落とし履歴・送金記録
単に「仕事で使った」と口頭で説明するだけでは不十分であり、これら一連の資料を時系列で整理して提示することによって、初めて納税者側の主張が客観的な証拠として認められることになります。
5. 「再調査の請求」をやる意味はあるのか?メリットと現実的な注意点
「直接国税不服審判所に審査請求できるなら、税務署に対する再調査の請求はやる意味がないのではないか?」という疑問は、多くの経営者や経理担当者の方が抱く点です。
実際問題として、国税庁が公表している統計を見ても、再調査の請求によって税務署の処分が完全に取り消される割合(認容率)は数パーセント程度にとどまります。一度下した処分を税務署自身が覆すことは、構造的にも容易ではありません。
しかし、再調査の請求を行うことには、戦略上の「明確なやる意味」が存在します。
🎯 再調査の請求を行う3つの戦略的メリット
① 税務署側の「主張のロジックや証拠」を事前に把握できる
再調査の請求を行うことで、税務署がどの事実を問題視し、どの法律解釈に基づいて処分を行ったのかが書面を通じて明確になります。相手の手の内を知ることで、次の審査請求に向けた対策が立てやすくなります。
② 費用や時間を抑えて迅速に争点を整理できる
国税不服審判所への審査請求や裁判所への訴訟は、準備に高度な専門知識と多大な時間・費用を要します。まずは再調査の請求を利用することで、比較的簡易な手続きで事実誤認や主張のズレを整理できます。
③ 税務署の担当部署以外の視点で再確認させられる
調査を行った現場の調査官ではなく、税務署内の不服申立て担当部門が改めて帳簿や証拠資料を確認するため、明白な事実誤認や勘違いがあった場合には、一部取り消しなどの見直しが行われる可能性もあります。
また、再調査の請求で納得のいく結果が得られなかった場合でも、その決定通知を受けた日の翌日から1か月以内であれば、改めて国税不服審判所に「審査請求」を行うことができます。
一方で注意点もあります。再調査の請求を行っても発生した税金の納付義務が自動的にストップするわけではなく、資料収集や理由書作成の負担が発生します。「単に感情的に納得いかないから」という理由だけで行うのではなく、「提出できる客観的な証拠があり、相手のロジックの隙を突けるか」を冷静に見極めた上で、審査請求への前哨戦として戦略的に活用する意義があります。
6. 税務調査で納得がいかない場合に会社が取るべき具体的な対応手順
調査官からの指摘に納得がいかず、更正処分や再調査の請求、審査請求を検討する場合、会社としては次のような手順で冷静に対応を進めることが推奨されます。
- 指摘内容と法的根拠を正確に記録する
その場で不用意な回答をせず、調査官が「なぜ認められないと判断したのか」「どの事実を問題視しているのか」「どの法律の条文に基づいているのか」を確認し、メモを残すか文章での説明を求めます。 - 関係資料を整理・再点検する
請求書、領収書、総勘定元帳、通帳明細、業務連絡メール、見積書、出張記録などを時系列で整理し、税務署側の主張と食い違っている部分を洗い出します。 - 修正申告に応じるか更正処分を待つか判断する
一度修正申告書を出してしまうと不服申立ての手続きは取れなくなります。自主的に直すのか、更正処分を受けて不服申立てに進むのかを慎重に検討します。 - 専門家(税理士)への相談・セカンドオピニオンを検討する
自社だけで法的根拠や証拠の強弱を判断するのが難しい場合は、不服申立てや税務調査対応に詳しい税理士に相談し、客観的な見解を求めます。
7. まとめ
税務調査における指摘に対して「どうしても納得がいかない」と感じた場合でも、感情的になって拒否するのではなく、法律と客観的な証拠に基づいて冷静に対処することが大切です。
今回の重要ポイントを整理します。
- 調査官の指摘に納得がいかない場合は、無理に「修正申告」に応じる必要はありません。
- 修正申告に応じない場合、税務署から「更正処分」が出され、これによって公的な不服申立て手続きへ進むことができます。
- 処分に不服がある場合、処分を行った税務署長に対して「再調査の請求」を行う権利が国税通則法で認められています。
- 審査請求に直接進める現在、再調査の請求はマイナーに見えますが、相手の主張や証拠を把握し、争点を整理するための戦略的手段として「やる意味」があります。
- 手続きにおいて最も重要なのは、請求書、契約書、通帳、メールなどの客観的な証拠に基づいて事実関係を証明することです。
- 再調査の請求には期限(原則として処分を知った日の翌日から3か月以内)があるため、早めの準備が必要です。
- その場の推測で回答せず、事実関係を整理した上で、専門家への相談も含めて最適な方針を検討することが大切です。
税務調査は勝敗を競うものではなく、適正な税額を正しく確認するための手続きです。正当な権利を守るためにも、まずは自社の手元にある証拠と事実を丁寧に確認することから始めてください。
✉️ 当事務所のお問い合わせ窓口のご案内
当事務所では、税務調査における指摘内容へのご不安や、更正処分・再調査の請求に関するご相談を承っております。
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社内懇親会費は福利厚生費で大丈夫?税務調査で否認されない条件と残すべき証拠資料
忘年会や新年会、歓送迎会、月例のランチ会・飲み会など、社内懇親会の費用は多くの会社で発生する経費です。
「社員同士の食事会だから、当然福利厚生費でしょう」と何となく処理しているケースも多いのですが、実は税務調査において『社内懇親会費』は思った以上に細かくチェックされる項目の一つです。
区分を誤ると、法人側では交際費の損金不算入、従業員側では給与として所得税の課税対象になるといったトラブルに発展することもあります。ポイントを押さえておくことで、税務調査での印象や説明力は大きく変わります。
今回は、社内懇親会費が福利厚生費・会議費・交際費・給与のどこに区分されるのか、税務調査で否認されないための条件と準備しておくべき証拠資料を整理して解説します。
1. そもそも「社内懇親会」とは?税務上の4つの区分
社内懇親会とは、従業員同士の親睦やコミュニケーションの活性化、日頃の労をねぎらうことを目的に会社が開く飲食を伴う行事のことです。忘年会、新年会、歓送迎会、決算慰労会、創立記念行事、部署単位の懇親会、月1回のランチ会などがこれにあたります。
これらは税務上、実態に応じて以下の4つのいずれかに区分されます。
| 税務上の区分 | 該当する主な実態・特徴 |
|---|---|
| 福利厚生費 | 従業員全体の慰労・親睦が目的。公平な参加機会があり、社会通念上相当な金額である場合。全額損金算入が可能。 |
| 会議費 | 会議や打ち合わせそのものが主目的であり、飲食はあくまで付随的(弁当代や茶菓子代等)である場合。 |
| 交際費等 | 特定の人(役員のみや特定の優遇メンバー)を対象とした飲食や、実質的に社外への接待・報奨とみなされる場合。資本金規模により損金算入制限あり。 |
| 給与(経済的利益) | 特定個人への手当や報酬の実態がある場合。従業員・役員個人の所得税が課税されるリスクが発生。 |
2. 福利厚生費になるかどうかのカギは「目的」と「公平性」
社内懇親会費が福利厚生費として認められるためのポイントは、ひとことで言うと「従業員の慰労・親睦を目的とした、会社の行事であること」です。
「社内の人間だけで飲み食いしたから福利厚生費」というわけではなく、税務調査では次のような観点から総合的に判断されます。
🔍 税務調査で見られる4つの観点
- 誰を対象にした行事か(特定の役員・幹部だけになっていないか)
- 何のために開催したのか(慰労・親睦目的か、成果報酬か)
- 実際に参加したのは誰か(実態と名簿の整合性)
- 金額が常識的な範囲か(社会通念上相当か)
「全員参加」は必須ではない
よくある誤解として、「全従業員が参加していないと福利厚生費にならないのでは?」というものがありますが、これは誤りです。
出張、休暇、育児・介護、病欠、私用など、従業員それぞれに事情があるのは当然です。調査でチェックされるのは「全員が参加したか」ではなく、「全員に参加する機会が公平に与えられていたか」という点です。対象全員に周知・案内を出し、希望者が自由に参加できる状態であれば、欠席者がいても基本的に問題ありません。
部署単位や月1回のランチ会も基本はOK
「営業部全員」「開発チーム全員」といった部署単位の懇親会も、「その部署に所属していれば誰でも自由に参加できる」状態であれば福利厚生費として処理可能です。
また、月1回のランチミーティングや飲み会も、頻度そのものより「実態」が重要になります。対象部署の全員が参加対象で自由参加、金額が常識的であれば毎月実施していても説明しやすいでしょう。
💡 1人あたり「5,000円」基準の誤解に注意!
「1人当たり5,000円以下なら安全」という明確な金額基準は福利厚生費には存在しません。「5,000円(※法改正等による金額変更を除く)」という数字は、交際費から除外できる『社外への接待飲食費』の基準であり、社内懇親会の福利厚生費判定とは別の話です。福利厚生費はあくまで「社会通念上相当な範囲か」でケースバイケースに判断されます。
3. 税務調査で OK なパターン vs 否認されやすい注意パターン
税務調査でスムーズに認められるケースと、否認リスクが一気に高まる注意パターンを比較形式で整理しました。
⭕ 福利厚生費として説明しやすい例
- 全社員、または部署全員が対象である
- 自由参加で公平な機会がある
- 目的が親睦・慰労である
- 金額が社会通念上相当な範囲
- 特定の人だけが得をしていない
- 開催案内や参加名簿が管理されている
⚠️ 否認・指摘を受けやすい例
- 役員だけ・管理職だけを対象とした会食
- 成績優秀者だけのご褒美・インセンティブ会食
- 飲食代が異常に高額(高級料亭・クラブ等)
- 参加メンバーがいつも固定の特定数名
- 実質的な取引先への接待が含まれる
- 開催頻度が過度に高い
特に「いつもの特定の3人だけで毎月高級店に行く」といったケースは、調査官が最も好んでチェックするポイントです。特定の人だけに利益が偏る会食は、交際費や給与(役員給与)と認定されるリスクが高くなります。
4. 税務調査に備えて普段から準備しておくべき証拠資料一覧
税務調査では「領収書があるか」だけではなく、「これは本当に福利厚生のための行事だったのか」という実態が確認されます。調査官に口頭だけで説明するのではなく、客観的な証拠を提示できるよう、日頃から以下の資料をセットで保存・管理しておきましょう。
📋 税務調査で残しておくべき証拠資料セット
① 開催の事実と周知(公平性)を示す資料
- 全社・部署宛ての開催案内メール、SlackやTeams等のチャット通知ログ
- 社内掲示板やポータルの案内画面コピー
② 参加状況(実態)を示す資料
- 出欠確認表、参加者名簿(対象者のうち誰が参加したか)
- 参加申込フォームの出力データ
③ 目的と支出・実績を示す資料
- 開催目的が記された社内稟議書、社内規定(福利厚生費支給規程など)
- 店名・明細が分かる領収書、請求書、クレジットカード明細
- 集合写真、会場写真、社内報のレポート記事など(実態の補強資料)
「領収書だけ」では「誰と何のために行ったか」が立証できません。「目的・対象者・参加者・領収書」をワンセットにして保存しておくことが、税務調査での強い防御になります。
5. 説明力を大幅に高める「社内規程(ルール)」の作成ステップ
会社として制度的に行っている福利厚生であることを証明するには、社内ルール(福利厚生規程や懇親会補助ルール)を明文化しておくことが非常に効果的です。
- 対象者を明確にする
「全従業員」または「該当部署に所属する全従業員」を対象とし、特定の役職者限定にしないルールを記載します。 - 開催上限・上限額を設定する
「開催は年4回まで(または月1回まで)」「会社負担額は1人あたり〇〇円まで」といった社内枠組みを設定します。 - 自由参加の原則と申請フローを決める
参加は任意であることを明記し、事前に事前申請(稟議)を通し、事後に「参加者名簿」と「領収書」を添付して精算する運用にします。 - 規程を社内に周知・保管する
作成した規程は社内ポータル等に掲載し、従業員全体へ周知しておくことで制度としての実態を作ります。
6. まとめ
社内懇親会費を福利厚生費として正しく計上し、税務調査で否認されないようにするためには、次の4点がすべてです。
- 対象者全員に参加機会が公平に与えられているか
- 金額が社会通念上相当な範囲であるか
- 特定の人だけの利益や報酬になっていないか
- 開催案内・参加者名簿・領収書などの「証拠資料」がセットで残っているか
月1回のランチ会や懇親会自体が悪いわけではなく、「実態」と「記録」が伴っているかどうかが合否を分かれます。社内規程の整備や記録方法について不安がある場合は、放置せず早めに税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。
※本記事は社内懇親会に関する税務上の一般的な考え方を整理したものです。個別の事案については、事実関係に応じた検討が必要となりますので、顧問税理士にご確認ください。
⚠️ お問い合わせに関する重要なお願い
当事務所では、一般的な税務情報の提供のみを目的とした無料の質問・相談は一切行っておりません。無料面談は、当サービスの利用・顧問契約を真剣に検討されている方限定(具体的な契約内容やサポート適用のご相談)です。情報収集目的のご質問はご遠慮ください。名古屋市・愛知県周辺での税務調査対応なら「森本経営会計事務所」へ
自社が調査対象になりやすい特徴に当てはまっていないか不安な方、
事前に対策を講じたい経営者様は、当事務所へお気軽にご相談ください。
副業収入(メルカリ・EC・SNS・note)への税務調査が激増中!申告漏れを指摘されないための準備
近年、メルカリなどのフリマアプリ、ECサイト、SNSを通じた集客やコンテンツ販売プラットフォームであるnoteなど、多様な方法で副業収入を得る方が増えています。会社員として働きながら個人でビジネスを行うスタイルが一般的になる一方で、税務署による副業収入への関心が非常に高まっています。
税務調査と聞くと、大企業や一部の富裕層だけが対象になる印象を持たれるかもしれません。しかし、現在はIT技術やデータ解析の発達により、個人が行う少額な取引やネット上の副業に関しても、税務署が正確に把握できる環境が整っています。その結果、副業の申告漏れを指摘されるケースが急増しています。
突然税務署から連絡が来ると、「何か大変な処分を受けるのではないか」と強い不安を感じるのが自然です。しかし、税務調査は税務署との勝ち負けを決める場ではありません。税法という法律と、客観的な証拠に基づいて、事実関係と申告内容が正しいかを冷静に確認する手続きです。通知が届いたからといって、直ちに不正や悪質な申告漏れが確定するわけでもありません。
この記事では、副業収入に関する税務調査の現状や、なぜ税務署に取引が把握されるのかという仕組み、雑所得と事業所得の違い、税務調査で確認される具体的な資料、万が一調査を受けることになった際の正しい対応方法について解説します。専門用語についても丁寧にお伝えしますので、ご自身の取引内容を冷静に振り返り、適切な準備を進めるための参考にしてください。
1. 副業収入(メルカリ・EC・SNS・note)になぜ税務調査が入るのか
副業で得た収入について、「銀行口座に振り込まれているだけだから分からないはず」「個人間の取引や少額の売上なら税務署に知られないのではないか」と考えてしまう方が少なくありません。しかし、税務署はインターネット上の取引情報を収集する専門の体制を整えており、プラットフォーム上の取引データを把握する多様な手段を持っています。
税務署が取引を把握する大きな理由の一つに、国税通則法に基づく質問検査権や情報照会があります。税務署は法律の規定に基づき、メルカリやnoteなどのプラットフォーム運営会社や、決済代行会社、金融機関に対して取引データの提供を求めることができます。
例えば、国税通則法第74条の2では、税務職員が調査において関係者に質問し、帳簿書類やその他の物件を検査できる権利が定められています。
📜 国税通則法第74条の2第1項(抜粋)
「国税庁、国税局若しくは税務署の当該職員は、所得税等に関する調査について必要があるときは、法律に定める者に質問し、帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる。」
この規定により、税務署はプラットフォーム事業者に対して特定ユーザーの年間取引額や振込口座の情報を請求することができます。プラットフォーム事業者は法的な要請に応じてデータを開示するため、個人が「バレない」と思って取引していても、税務署側には売上金額や振込履歴が正確に蓄積されています。また、銀行口座への定期的な振込や、SNS上の集客活動・販促発言なども分析対象となります。
2. 副業収入の確定申告が必要となる基準と「雑所得」「事業所得」の区分
副業で収入を得た場合、原則として確定申告が必要となる基準が存在します。一般的な会社員の場合、本業の給与所得や退職所得以外の所得(収入から必要経費を差し引いた金額)が年間で20万円を超える場合に、所得税の確定申告義務が生じます。ここで注意が必要なのは、「売上(収入)」ではなく「所得(利益)」が20万円を超えているかという点です。
💡 所得の計算例(メルカリの場合)
年間30万円の仕入れを行い、50万円で売却した場合:
収入 50万円 - 経費 30万円 = 所得 20万円
※この場合は申告不要の範囲に収まりますが、経費の裏付けとなる領収書や請求書がないと、売上50万円全体が所得とみなされて申告漏れを指摘されるリスクがあります。
※自宅にある不用品(生活用動産)の売却は原則非課税ですが、転売目的で購入した商品やハンドメイド作品の売上は課税対象となります。
また、副業収入の区分として「雑所得」と「事業所得」のどちらに該当するかという問題があります。
| 区分 | 概要 | 特徴・メリット |
|---|---|---|
| 雑所得 | 他のどの所得にも分類されない所得。一般的な副業の多くがこれに該当。 | 赤字が出ても他の所得(給与など)と相殺(損益通算)はできません。 |
| 事業所得 | 農業、製造、卸売、小売、サービス業その他の事業から生ずる所得。 | 他の所得との損益通算や、青色申告特別控除が受けられるメリットがあります。 |
国税庁の通達では、副業の所得が事業所得に該当するかどうかについて、記帳・帳簿書類の保存が行われているかを重要な判断基準としています。適切な帳簿を保存しており、社会通念上事業と呼べる規模や営利性、継続性があれば事業所得として認められますが、帳簿書類の保存がない場合や、単発の小規模な取引である場合は「雑所得」として扱われます。節税目的のためだけに実態のない赤字を事業所得として申告していると、税務調査において雑所得へ修正され、追徴課税を受ける原因となります。
3. 税務調査で指摘されやすい「申告漏れ」の典型的なパターン
副業に関する税務調査で、調査官から指摘を受けやすいパターンには一定の傾向があります。悪意がなくても、税法の仕組みを正しく理解していないために発生してしまうケースが多いため、事前に確認しておくことが大切です。
① 売上計上漏れのパターン(手数料の控除)
振込手数料やプラットフォームの決済手数料が差し引かれて手元に入金される場合、通帳に振り込まれた「控除後の金額」だけを売上として記載してしまうミスが頻発します。税務上は、手数料が引かれる前の「総売上」を収入として計上し、引かれた手数料は別途「支払手数料」という経費として計上しなければなりません。
② 入金時期のずれ(期末の売上計上漏れ)
12月31日までにnoteやECサイト上で商品・サービスが売れたものの、実際の銀行口座への振り込みが翌年1月になった場合、その売上は「12月分(当年の売上)」として計上する(権利確定主義・発生主義)必要があります。現金が入金された日基準で計算してしまうと、年末分の売上が漏れていると指摘されます。
③ 家事関連費の不適切な経費計上
家賃や電気代、インターネット通信費、スマートフォン代など、プライベートな生活費用と業務上の費用が混ざっている支出(家事関連費)を全額経費にすることはできません。業務で使用した比率を合理的な基準で分ける手続き(家事按分)が必要です。プライベートな飲食費などを経費に含めていると、過少申告として否認(税務上認められず取り消されること)される対象となります。
4. 税務調査の連絡が来たら準備すべき客観的証拠と資料
税務署から税務調査の連絡(事前通知)を受けた場合、慌てる必要はありません。税務調査は口頭の説明だけで進められるものではなく、すべて客観的な証拠に基づいて確認が行われます。
事前通知があったら、調査日までに以下の資料を手元に整理・準備しておきましょう。
📋 事前に準備すべき主な資料
- 売上や取引の履歴が確認できる管理画面のデータ(メルカリ、ECサイト、noteなどのマイページ画面)
- 販売先や仕入先とのやり取りを示すメールやメッセージ履歴
- 仕入れ時の領収書、納品書、請求書
- 業務で使用した経費の領収書やレシート
- 会社名義または副業用に使用している銀行通帳の原本や入出金明細
- クレジットカードの利用明細書
- 家事按分の計算根拠(通信費や家賃の按分比率を示したメモ)
もし資料の一部を紛失している場合でも、クレジットカードの明細や銀行の振込履歴、取引相手との電子メールなどから事実を補完することができます。
また、調査官から質問を受けた際、記憶が曖昧なことやその場で分からないことがあっても、適当な推測で回答してはいけません。「記憶が確かではないため、資料やログを確認してから回答します」と伝え、事実に基づいた正確な説明を心がけることが大切です。
5. 万が一申告漏れがあった場合のペナルティと修正申告の流れ
調査の過程で申告内容に間違いが見つかり、本来納めるべき税金より少なかったことが判明した場合、納税者は自ら申告内容を訂正する手続き(修正申告)を行います。
申告漏れがあった場合、本税(本来納めるべきだった所得税や消費税)に加えて、以下のような加算税や延滞税というペナルティが発生する可能性があります。
⚠️ 発生する可能性のあるペナルティ(加算税・延滞税)
- 過少申告加算税:申告書を提出していたものの、税額が不足していた場合に課される税金
- 無申告加算税:期限までに確定申告を行っていなかった場合に課される税金
- 延滞税:納付期限の翌日から納付する日までの期間に応じて課される利息に相当する税金
- 重加算税:事実の隠蔽(隠すこと)や仮装(装うこと)があったと判断された場合に課される、通常より重いペナルティ
国税不服審判所の裁決等においても、二重帳簿の作成や売上除外といった積極的な隠蔽行為がない限り、単なる申告漏れに対して重加算税を課すことは認められないと示された例が多数あります。
調査において調査官から指摘を受けた場合でも、言われるがままにすべての指摘を受け入れる必要はありません。指摘された内容の根拠となる法律の条文や事実に照らして、納得がいかない点があれば、客観的な資料を提示しながら理由を説明することができます。
6. 適切な申告と税務調査への備えを進めるためのステップ
副業収入に関する税務調査に不安を感じた場合、今からできる最も効果的な対策は、過去の取引記録を整理し、事実関係を正確に把握することです。以下の4ステップで対応を進めましょう。
- 過去数年分の売上データを抽出する
ご利用中のプラットフォーム(メルカリ、note、ECサイトなど)から、年間ごとの売上合計と振込履歴のデータをダウンロードまたは印刷して確認します。 - 経費の領収書と口座明細を突き合わせる
仕入れ費用や発送費、振込手数料、システム利用料など、副業に直接かかった費用の領収書や明細を年ごとに整理します。 - 過去の申告状況を確認する
これまでに確定申告を行っていたか、20万円の基準を超えていたかを確認します。もし申告が必要であったにもかかわらず提出していない年がある場合は、税務署からの調査通知を受ける前に自主的に期限後申告を行うことで、無申告加算税の割合を軽減できる仕組みがあります。 - 事実関係を証明する書類を保管する
電子取引のデータやメールの履歴は、消去せずに保存しておきます。税務調査では「いつ、誰と、どのような取引を行い、いくら支払ったか」という客観的な記録が最も重視されます。
7. まとめ
副業収入(メルカリ・EC・SNS・note)に対する税務調査は、決して感情や雰囲気で行われるものではありません。国税通則法や所得税法といった法律と、通帳、管理画面の記録、領収書などの客観的な証拠に基づいて進められます。
ネット上の取引であっても、税務署は法的な権利に基づいて情報を確認できるため、「少額だから」「個人取引だから」と放置せず、正しく把握して申告することが不可欠です。
ご自身の取引内容や過去の申告について判断に迷う場合や、税務署からの指摘に対して法的根拠に基づいた整理が必要な場合は、税務の専門家に相談して選択肢を検討することも有効な方法です。事実関係を一つずつ冷静に確認し、適正な申告と対応を進めていきましょう。
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