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税務調査ブログ
税務調査における受忍義務者とは?法人では従業員も対象?税理士がわかりやすく解説


税務調査における「受忍義務者」とは
税務署による質問や帳簿検査を受け入れる法的義務を負う者を指します。
国税通則法第74条の2に基づき、税務職員は質問検査権を有しており、納税義務者は調査に対して一定の協力を求められることがあります。
しかし、「誰がその受忍義務者にあたるのか」は、個人事業主と法人で異なるため、明確な理解が重要です。
個人事業主の場合の受忍義務者
1. 事業主本人が受忍義務者
個人事業主の場合、受忍義務者は事業を営む本人です。税務調査は、あくまで納税義務者本人を対象として行われるため、帳簿書類の提示や説明に応じるのは事業主本人となります。
2. 家族や従業員は原則として義務なし
家族従業員や事務員などは、原則として受忍義務者には該当しません。
彼らは補助的な立場にあり、事業主本人の委任や同意がない限り、税務署の質問に答える法的義務はありません。
税務調査の現場では、「誰が義務者なのか」を正しく理解しておくことが、不要な混乱を防ぐ第一歩となります。
法人の場合の受忍義務者
1. 法人そのものが受忍義務者
法人の場合、受忍義務者は法人そのものです。税務調査の対象は「法人格」であり、自然人である代表者や従業員が直接義務を負うわけではありません。
法人は法的に独立した人格を持つため、その意思を外部に示す代表取締役や役員が実際に対応します。
2. 代表者・役員が法人を代表して対応
法人の代表者や役員は、法人の意思決定を担う立場として、法人を代表して帳簿の開示や質問への回答を行う責任があります。この行為が、法人としての受忍義務の履行にあたります。
3. 従業員は受忍義務者に含まれない(有力説)
多くの法学者・実務家の見解として、法人の従業員は受忍義務者に含まれないとされています。
従業員はあくまで法人の指揮命令のもとで働く立場であり、独自に法的義務を負う存在ではありません。
税務職員が従業員に直接質問を行う場合には、代表者または税理士の立会いのもとで行うのが適切と考えられています。
この点を誤解すると、従業員が不用意な発言をして法人全体のリスクにつながることもあるため、注意が必要です。
4. 税理士立会いによる対応が安心
法人調査では、会計処理や契約関係など専門的な事項が多く、現場対応を誤ると、誤解や不要な追徴課税につながるおそれもあります。
したがって、税務調査の際には、税理士立会いのもとで説明・回答することが望ましいでしょう。
まとめ:受忍義務者の範囲を正しく理解し、落ち着いて対応を
税務調査における受忍義務者は、
- 個人事業主では「本人」
- 法人では「法人(代表者・役員が対応)」
が基本であり、従業員は受忍義務者に含まれないのが一般的な解釈です。
適切な受忍義務の理解が、不要なトラブルを未然に防ぎます。
森本経営会計事務所からのアドバイス
森本経営会計事務所では、税務調査の立会い・事前準備・是正処理までをワンストップで支援しています。
税務調査の受忍義務者を誤解すると、思わぬ対応ミスや説明不足が発生することもあります。「どこまで協力すべきか」「誰が対応すべきか」など、調査前に一度専門家と確認しておくことをおすすめします。
名古屋・愛知・東海エリアの税務調査対応なら、Morimoto Accounting & Tax Office(森本経営会計事務所)へお気軽にご相談ください。
税務調査で質問されたことには即答しなければならない?焦らず正確に対応する方法を税理士が解説


💼 質問に即答する必要があるのか?【基本スタンスの解説】
税務調査では、調査官から次々と質問が投げかけられます。
「すぐに答えないと疑われるのでは」と不安になる経営者の方も多いでしょう。
しかし、税務調査の質問に即答する義務はありません。
税務調査は「任意調査」であり、納税者が自発的に協力して進められるものです。焦って**誤った回答**をしてしまうと、後に不利な証言として扱われる危険性があります。
🧠 人の記憶は曖昧!即答よりも「確認」が大切
人間の記憶は完璧ではありません。昨日の食事内容でさえ曖昧になってしまうことがあります。まして数年前の取引や現金の動きを、正確に思い出すのは容易ではありません。
そのため、税務調査で質問されたときに答えられなくても、まったく問題ありません。
✨ その場での正しい対応例
- 「確認のうえ、正確な内容を税理士を通じてご回答いたします。」
- 「整理して書面にまとめ、後日ご提出いたします。」
これらの対応は、決して不誠実ではなく、むしろ誠実で慎重な姿勢として評価されます。
⚠️ 即答が危険な理由とは?【誤った回答のリスク】
税務調査官の質問に曖昧なまま答えてしまうと、その発言が「供述記録」として残ります。後で訂正したくても、「当初の説明と違う」と指摘され、不利に扱われることがあります。
🚨 誤った回答が残るリスク
- 「うっかり違う日付を言ってしまった」
- 「金額を誤って記憶していた」
- 「取引相手を勘違いしていた」
こうした些細な誤りが、後の税務判断に影響することがあります。したがって、「早さ」よりも「正確さ」を最優先にすべきです。
✅ 「税理士を通じて」「書面で回答」は正式な対応
税務調査の回答には形式的な制約がなく、口頭だけで行う必要もありません。
1. 税理士を通じて回答するメリット
税理士を通じて回答することで、質問内容を正確に把握し、税務法令・会計基準に基づいた根拠ある説明が可能になります。
- ・法的観点からの整理ができる
- ・不要な誤解や不利な供述を防げる
- ・記録に残る形で正確な対応が可能
2. 書面回答のメリット
書面にまとめて回答することで、「誤解のない明確な説明」が可能になります。これは後日のトラブル防止にもつながり、税務署側にとっても確認しやすい合理的な方法です。
🤝 税理士立会いで安心・正確に対応する
税務調査に税理士が立ち会うことで、調査官の質問の意図を正確に理解し、納税者に不利にならないように対応できます。
また、税理士は調査の過程で不当な追及が行われた場合、法的根拠をもって適切に対応・制止できる立場にあります。
税理士法第2条でも、税務代理や税務相談の権限が明記されており、納税者の権利を守る重要な役割を担っています。
💡 まとめ:焦らず、確認し、正確に答えることが信頼につながる
税務調査で大切なのは、「すぐ答えること」ではなく**「正確に答えること」**です。人の記憶は曖昧で当然です。
🔑 税務調査をスムーズにする3つのポイント
- 無理に即答せず、確認してから回答する
- 税理士を通じて整理して答える
- 書面で提出して明確に残す
この3点を意識するだけで、税務調査は格段にスムーズになります。
焦らず、冷静に、そして誠実に対応することこそが、結果的に税務署からの信頼を得る一番の近道です。
森本会計では、法人・お事業主様の税務調査サポートサービスを行っています。開業
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税務調査が5年から7年に延長される理由とは?仮装隠蔽の判断ポイント


税務調査が5年から7年に延長される理由とは?仮装隠蔽の判断ポイント
税務調査は通常、最大で5年間を対象に行われます。実務上は3年で済むこともありますが、法律上は5年までさかのぼることが可能です。
ところが調査官から「今回は7年まで遡って調べます」と言われることがあります。
「なぜ最大5年ではなく7年なのか?」「単なる申告ミスでも7年になるのか?」――こうした疑問を持つ方は少なくありません。
結論:7年に延長されるのは、仮装隠蔽(意図的に所得を隠す行為)があったと判断された場合に限られます。
つまり、「単なるミス」か「意図的な隠蔽」かが5年と7年を分ける重要なポイントです。
税務調査の基本:最大5年(実務は3年が多い)
- 法律上:税務調査は最大で5年までさかのぼることができます。
- 実務上:調査リソースなどの関係から、直近3年で終了することが多いのが実情です。
ただし、仮装隠蔽と認定された場合には、対象期間が7年に延長されます。
7年に延長されるのはどんな場合か
仮装隠蔽とは、故意に売上や所得を隠す行為を指します。税務署が意図的な不正と判断したとき、7年調査の対象になります。
仮装隠蔽の具体例
- 売上除外(現金売上を帳簿に記載しない、二重帳簿をつける)
- 架空経費の計上(存在しない領収書を経費として使用)
- 架空取引の記録(実在しない仕入先や架空人件費を計上)
- 在庫の隠匿(棚卸資産を少なく計上し利益を減らす)
これらは「意図的に隠した」と見なされやすく、7年延長の根拠とされるケースが多いです。
単なるミスとの違い
一方で、次のようなケースは仮装隠蔽ではなく単なる過失として扱われる可能性があります。
| 単なるミス(過失) | 仮装隠蔽(不正) |
|---|---|
| 記帳や入力の単純ミス | 売上除外や二重帳簿 |
| 領収書・請求書の紛失 | 架空経費・架空人件費の計上 |
| 経理担当者の理解不足による誤処理 | 在庫の意図的な隠匿 |
税務署は広く「仮装隠蔽」と解釈する傾向がありますが、納税者としては「意図的ではない」ことを主張することが重要です。
納税者が取るべき対応
- 理由を確認する:「なぜ7年なのですか?」と質問し、 仮装隠蔽と判断した根拠を明確にしてもらう。
- ミスかどうかを説明する:「これは意図的ではなく単純な経理ミスです」と説明できるよう、 資料や証拠を整理する。
- 記録を残す:やりとりをメモに残し、後日の不服申立てや専門家相談に備える。
- 専門家に相談する:税理士に同席してもらえば、 不当な仮装隠蔽認定にも冷静に対応できる。
仮装隠蔽の判断は非常に微妙であり、税務署の解釈次第で変わることもあります。 不安を感じたら、早めに税理士などの専門家へ相談しましょう。
まとめ:意図的でなければ7年延長には該当しない
税務調査の対象期間は原則5年、仮装隠蔽がある場合のみ7年に延長されます。 単なるミスであれば延長対象にはならないため、意図的でないことを明確に示すことが大切です。
税務調査の現場で不安を感じたら、冷静に理由を確認し、記録を残し、専門家へ相談することで、 不当な判断を避けることができます。
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【期限厳守】青色申告が取消しになる決定的な違い!個人は控除、法人は承認剥奪


青色申告の取消!申告期限が遅れた場合、個人と法人でどう違うのか?
個人事業主の場合:申告が遅れても自動取消しはされない
個人事業主が確定申告を期限後に提出しても、直ちに青色申告の承認が取り消されることはありません。
- 青色申告の承認取消しは、帳簿書類を備え付けていない、不正(仮装・隠ぺい)がある場合に行われます。
- 期限後申告をした年は、青色申告特別控除(65万円控除・55万円控除など)が受けられません。
- 翌年以降に期限内申告をすれば、青色申告の承認は継続されます。
つまり、期限に遅れても「その年のメリットが消えるだけ」であり、自動的に青色申告が取り消されるわけではありません。
法人の場合:2期連続で遅れると強制的に取消し
法人は個人よりも厳格です。法人税法の規定により、2期連続で期限内申告をしなかった場合、青色申告の承認は自動的に取り消されます。
- 取消しの効力は2期目から発生します。
- 取消し事業年度と翌事業年度の2期は白色申告となり、節税メリットを完全に失います。
- 取消しから1年間は再申請できないため、最短でも3期目から青色に戻ることができます。
つまり法人の場合、「2回続けて遅れたら即アウト」という非常に厳しいルールが適用されるのです。
個人と法人の違いを整理すると
| 個人事業主 | 法人 | |
|---|---|---|
| 自動取消し | なし | 2期連続遅れると【承認取消し】 |
| 遅れた年のペナルティ | 控除(65万円など)が受けられない | その年の控除は受けられない |
| 影響 | 特典を失い、税額が増える | 承認そのものが取り消され、最低2期は白色申告に |
まとめ:期限を守ることが最大の防御
青色申告を取り消されると、節税効果を失うだけでなく、金融機関や取引先からの信頼にも影響します。
個人は「特典を失う」リスク
法人は「承認そのものを失う」リスク
申告期限を守ることこそが最大の防御策です。
日々の帳簿付けを確実に行い、税理士と早めに相談しておくことで、青色申告のメリットをしっかり維持していきましょう。
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税務調査は原則5年間さかのぼれる
税務調査は原則5年間さかのぼれる
まず理解しておきたいのは、税務署には原則5年間さかのぼって調査を行う権限があるということです(国税通則法に基づく)。 そのため、5年分を調べられること自体は、税務署にとって当然の権利です。
ただし、問題はその使い方です。
「修正申告しなければ5年分やる」は不自然な説明
実務上よくあるのが、調査官が次のように説明するケースです。
「修正申告すれば3年分で済む」
「応じなければ5年分まで遡って調べる」
一見すると合理的な提案のように聞こえますが、本来は「修正申告をするかどうか」で調査期間が変わることはありません。
したがって、これは納税者に心理的圧力をかけるための説明である可能性が高いのです。
納税者が取るべき4つの対応
1. 法的根拠を確認する
「なぜ修正申告をしないと5年になるのですか?」と冷静に質問しましょう。 多くの場合、明確な答えは返ってきません。
2. 調査終了の有無を確認する
「今の段階で調査は終わっているのですか?」と尋ねることで、 調査官の説明の矛盾が見えてきます。
3. 記録を残す
会話の内容は必ずメモを取りましょう。 不当な対応があれば、後日専門家に相談する際の重要な証拠になります。
4. 税理士に相談する
専門家が同席すれば、不当な圧力にも冷静に反論できます。 一人で抱え込まず、税理士を味方につけることが大切です。
行政手続法による反論も可能
もし「修正申告しなければ5年にする」といった発言が不当だと感じた場合は、 行政手続法に基づいて正式に反論することも可能です。
行政手続法第36条の2第2項には、不当な行政指導に対して 中止や是正を求める仕組みが定められています。
「反論書」として提出する内容の一例:
- いつ、どんな発言があったのか
- その発言が不当である理由
これらを整理して提出することで、納税者の権利を守ることにつながります。
まとめ:脅しに屈せず冷静に対応を
税務署には確かに5年分を調査する権限があります。 しかし「修正申告に応じないなら5年にする」といった説明は、 法律の建前から見て不自然であり、納税者に不安を与えるための表現である場合が多いのです。
税務調査で不当な発言を受けたときは、次の4点を意識して冷静に対応しましょう。
- 法的根拠を確認する
- 調査終了の有無を確認する
- 記録を残す
- 税理士に相談する
さらに、必要に応じて行政手続法に基づく反論を検討することも可能です。 納税者には守られるべき権利があり、法律に基づいた適正な調査が行われることこそが大前提です。
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行政指導とは「強制」ではなく「助言」です。修正申告を勧められた時の考え方


日本語での「指導」と行政用語の「行政指導」の違い ― 税務調査における修正申告との関係
税務調査を受けると、税務署の調査官から「修正申告をしてください」と行政指導を受けることがあります。これは「修正申告の勧奨」と呼ばれますが、法律上は 行政指導 にあたり、従う義務はありません。
とはいえ「行政指導」と聞くと、「税務署からの命令に従わなければならないのでは」と不安に感じる方も多いでしょう。その背景には、日本語の「指導」という言葉が持つイメージと、法律用語としての「行政指導」の意味の違いがあります。本記事では、この2つを整理し、税務調査における修正申告との関係を解説します。
税務調査でよくある「修正申告の勧奨」とは?
税務調査で誤りが見つかった場合、税務署は「更正処分」によって税額を修正できます。しかし、その前に調査官が「ご自身で修正申告をしませんか?」と勧めるのが 修正申告の勧奨です。
ここで大切なのは、修正申告に応じるかどうかは納税者が任意で判断できる点です。応じなくても不利な扱いを受けることはなく、税務署が更正処分を行うだけです。したがって、修正申告の勧奨は 行政指導に分類されます。
日本語での「指導」の意味
国語辞典では「指導」を次のように説明しています。
- ・ある目的や方向に向かって導くこと
- ・知識や技術を教え、指し示すこと
- ・上位者が下位者に対して行う教育や助言
日常で「部下を指導する」「生活指導をする」といった言葉を使うとき、多くの人は「上からの強い働きかけ=命令に近いもの」と受け取りがちです。 ただし重要なのは、「指導」という語自体に命令や強制の意味は含まれていないこと。本来は「指して導くこと」であり、必ず従わせることを前提とした表現ではありません。
行政用語としての「行政指導」
法律用語としての行政指導は、日常の「指導」のニュアンスと大きく異なります。 行政指導とは、行政機関(税務署や市役所など)が法律に基づかずに、助言・要請・勧告を行う行為です。
- 強制力はないため、従わなくても罰則や加算税などの不利益は直ちには生じない
- 内容に納得できない場合は、理由を確認し、法的根拠の有無を丁寧に検討する
つまり行政指導は、あくまで「お願い・助言」にすぎません。
納税者の心構え
- 日本語の「指導」には命令・強制の意味は本来含まれない
- 修正申告の勧奨は行政指導であり、従うかどうかは任意
- 応じなくても、税務署が更正処分として税額を修正するだけ
これらを知っていれば、調査官の言葉に過度な不安を抱かず、冷静に対応できます。迷った場合は、記録を残しつつ専門家へ相談しましょう。
まとめ ― 法律に従う姿勢が大切
「指導」と聞くと命令に近いものと誤解しがちですが、本来は「指して導くこと」であり、強制力を意味しません。法律用語の「行政指導」も同様に、お願いや助言にとどまります。
修正申告の勧奨もその一つで、従うかどうかは納税者の自由です。必要に応じて税理士などの専門家に相談し、法律を基準に冷静に判断しましょう。公務員の発言に盲目的に従うのではなく、法治国家の一員として「法律」に従う姿勢こそが、納税者の権利を守ることにつながります。
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「修正申告をしてください」と言われた時の対策法


ただし現実には、多くの納税者が「従わなければ不利益を受けるのでは」と感じてしまいます。 そうしたときに活用できるのが、行政手続法に定められた「行政指導の中止の求め」です。
行政手続法第36条の2第2項とは
行政手続法には、行政指導に納得できないときに中止を申し出る権利が明記されています。 これを行うには書面が必要で、氏名や住所、行政指導の内容、根拠とされる法律の条文、その要件、 要件に適合しないと思われる理由などを記載しなければなりません。
つまり、この仕組みを使うことで 「この行政指導は法律に根拠がないのではないか」という反論を正式な形で提出できるのです。
通常の反論書との違い
ここで重要なのは「通常の反論」と「行政手続法に基づく反論」の違いです。
通常の反論書は、意見として行政に伝えることはできますが、行政が必ず回答する義務はありません。 担当者の判断で終わってしまい、公式な記録が残らないこともあります。
一方、行政手続法に基づく反論、すなわち「行政指導の中止の求め」を提出した場合、 行政機関には必ず調査を行い、その結果を申出者に通知する義務が生じます。
- ●課長などの上司による確認が必要となり、現場担当者の独断を抑止できる。
- ●行政の見解が通知として残るため、将来の不服申立てや裁判で証拠として活用できる。
このように「法律に基づく反論」は、通常の反論とは扱いが大きく異なり、行政を動かす力を持っているのです。
行政側の義務と実務的な効果
行政手続法第36条の2第2項に基づく申出を受けた行政機関は、 必ず調査を行い、その結果を通知しなければなりません。これを「調査結果等」と呼びます。
この仕組みにより、納税者は次のような効果を得られます。
- ●行政に根拠を明示させられる
- ●言った言わないの平行線を防ぎ、記録を残せる
- ●担当者の独断を抑止できる
ただし注意点もあります。行政が「これは行政指導ではなく説明です」と言い逃れる場合もあり、 中止の求めを出したからといって必ず指導が取り下げられるわけではありません。
まとめ
税務調査で「修正申告を勧められたが納得できない」と感じたとき、 通常の反論よりも行政手続法第36条の2第2項に基づく 「行政指導の中止の求め」を活用することで、 行政に調査と通知の義務を負わせることができます。
効果は限定的であるものの、記録を残し、納税者としての立場を守るための有効な防御策の一つです。 弊所では、こうした制度を必要に応じて活用し、 クライアントの不安を少しでも和らげるサポートを行っています。
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税務調査が5年から7年に延長される理由とは?仮装隠蔽の判断ポイント
税務調査が5年から7年に延長される理由とは?仮装隠蔽の判断ポイント
税務調査は、通常は最大で5年間を対象に行われます。実務では3年で済むことも少なくありませんが、法律上は5年までさかのぼることが可能です。
ところが、調査官から「今回は7年まで遡って調べます」と言われることがあります。
「なぜ最大5年ではなく7年なのか?」
「単なる申告ミスでも7年になるのか?」
こうした疑問は多くの経営者や個人事業主が抱く不安です。
結論から言えば、7年に延長されるのは 仮装隠蔽(意図的に所得を隠す行為) があると判断された場合に限られます。つまり、5年と7年の違いは「単なるミス」か「意図的な隠蔽」かで大きく分かれるのです。
税務調査の基本:最大5年(実務は3年が多い)
- 法律上:税務調査は最大で5年までさかのぼって行われます。
- 実務上:調査リソースの関係などから、直近3年で終わるケースが多いのが実情です。
ただし、「仮装隠蔽」とされれば、対象期間が7年に延長されることがあります。
7年に延長されるのはどんな場合か
例外として、仮装隠蔽があったと認められると7年間に延長されます。
仮装隠蔽とは、故意に売上や所得を隠す行為のことです。
仮装隠蔽の具体例
- 売上除外(現金売上を帳簿に記載しない、二重帳簿をつける)
- 架空経費の計上(存在しない領収書を使って経費にする)
- 架空取引の記録(実在しない仕入先や架空の人件費を計上)
- 在庫の隠匿(棚卸資産を少なく計上し、利益を減らす)
これらは「意図的に隠した」と判断されやすく、7年延長の対象となり得ます。
単なるミスとの違い
一方で、次のようなケースは仮装隠蔽ではなく単なる過失と考えられる余地があります。
- 記帳や入力の単純ミス
- 領収書や請求書の紛失
- 経理担当者の理解不足による誤処理
税務署は広く「仮装隠蔽」と解釈しがちですが、納税者としては 「意図的ではない」 と主張することが大切です。
納税者が取るべき対応
- 理由を確認する:
「なぜ7年なのですか?」と質問し、仮装隠蔽と判断した根拠を必ず確認する。 - ミスかどうかを説明する:
「これは意図的な隠蔽ではなく、経理上の単純ミスです」と主張できるよう資料を整理する。 - 記録を残す:
やりとりをメモに残し、後日の不服申立てや専門家への相談に備える。 - 専門家に相談する:
税理士に同席してもらえば、不当な仮装隠蔽認定に冷静に対応できる。
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税務調査で「書類を預けてほしい」と言われたときの対応
税務調査の現場では、調査官から「この帳簿や契約書をお預かりしたいのですが」と要請を受けることがあります。突然そう言われると「拒否すると不利になるのでは」と不安になる納税者も少なくありません。しかし、ここで重要なのは書類を預けることに法律上の義務はないという点です。
法律が定める義務は提示・提出まで
国税通則法第74条の2は、納税者に帳簿書類の提示または提出義務を定めています。つまり調査の場で帳簿や証拠書類を見せる、またはコピーや写しを渡すことは法的義務として求められます。一方で原本を税務署に持ち帰らせる、いわゆる留置きについては法律に規定がありません。あくまで任意の協力に過ぎず、納税者が拒否しても法令違反にはならないのです。
国税庁の指針も任意の協力と明記
国税庁の調査事務運営指針でも、留置きは納税者の同意が前提であることが明記されています。また、どうしても留置きを行う場合は留置簿に必ず記載し、留置票を納税者に交付することが調査官側の義務とされています。したがって安易に「預けてください」と言われても、納税者には明確な権利があり、無条件に応じる必要はありません。
実務での対応ポイント
実際の現場では、調査官が「原本を持ち帰って精査したい」と申し出ることがあります。この場合の対応としては以下の点が大切です。
まずはコピー提出で対応すること。原本を持ち出させるのではなく、必要部分をコピーして渡すのが安全です。
どうしても原本が必要な場合は、調査官(税務署側)に原本を持参してもらい確認する方法を提案すること。原本を手元から離さずに済むため、万一の紛失リスクを防げます。
留置き(とめおき)を受け入れる場合は留置票(とめおきひょう)を必ず受領すること。何を誰にいつ渡したかの証拠が残り、返却時のトラブルを避けられます。
まとめ
税務調査は緊張感を伴う場面ですが、調査官の要請をすべて義務と思い込む必要はありません。法律が定める範囲を理解しておけば、冷静に対応できます。書類を見せることやコピーを提出することは義務ですが、原本を預けるかどうかは納税者の判断です。
不安を感じたら「税理士に相談してから回答します」と伝えれば十分です。調査官も通達を理解しているため、強引に原本を持ち帰ることはできません。
税務調査は納税者にとって大きなストレスになる出来事です。しかし、正しい知識を持って臨めば過度に恐れる必要はありません。私たち税理士は納税者の権利を守りつつ適正な調査の実現をサポートする立場にあります。ぜひ「預ける義務はない」という事実を知り、落ち着いた対応を心がけていただきたいと思います。
「税務調査が来たらどうしよう…」そんな不安を解消しよう!
税務調査と聞くと、「いつ来るの?」「何を見られるの?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。特に個人事業主やフリーランスの方にとって、税務調査は決して他人事ではありません。
しかし、事前に正しい知識と準備をしておけば、慌てる必要はありません。この記事では、税務調査に関する基本知識から、よくある指摘事項、そして調査後の対応までを分かりやすく解説します。
税務調査を受けやすい状況
* 売上や所得が急増している
* 経費の計上内容に不自然な点がある
* 現金取引が多い(ネットオークションやフリマなども含む)
* 副業や投資(株・FX・アフィリエイト収入など)による収入がある
調査の流れと調査で見られるポイント
調査は通常、電話などで事前通知があり、調査官が2〜3日かけて帳簿や領収書などを確認します。調査官が重点的に確認するのは、次のような点です。
* 売上の計上漏れ
* プライベートな支出を経費に含めていないか
* 家賃や光熱費などの家事按分の妥当性
* 領収書・請求書・銀行取引明細の保存状態
* 海外取引や投資の申告漏れ
調査後の対応が今後を左右する
税務調査が終わったあとも油断は禁物。調査で指摘された場合には、以下のような対応が必要です。
* 指摘事項に対する速やかな修正申告
* 延滞税や加算税などの納付
* 会計処理や証拠書類の管理方法の見直し
* 専門家(税理士)への相談
誠実に対応しないと、追徴課税だけでなく、今後の調査でも不利な扱いを受ける可能性があります。
このような取り組みによって、日々の経理への意識が高まり、税務調査への不安が軽減されたとのことです。 税務調査は、事業を行っている限り、誰にでも起こりうるものです。不安を抱えるよりも、知識を持って備えることが一番の対策です!
個人事業主を営んでいる事で気を付けるポイントとは何でしょう?
森本会計では、税務調査対応をご検討いただいている方へ無料相談を行っております。お問い合わせはお電話またはお問い合わせフォームからお申込み下さい。










